ちょいクスッちょいホロッ

ちょっと笑えてちょっと感動する話

教員人生で1番笑いをとった出来事

小学校教員で高学年担任&体育主任をやってた頃。


休み時間に、グラウンドのサッカーゴールによじ登り、ゴールネットの上の部分をまるで「ハンモック」の様にして寝そべる強者の子たちがいました。


僕はその子たちの担任ではなかったのですが、ヤンチャ話は日頃から聞いていました。


僕や他の男の先生の前では非常に素直でかわいい子たちでしたが、たまに子供らしすぎるというか、とんでもない行動に出るみたいでした。


それが、ハンモック事件 


他の子達からの通報で急いでグラウンドに駆けつけると、まさに揺られて寝そべっている場面でした。

(周りに他の先生がいましたが、その子達に反抗されるのが嫌で注意しなかったということがまた別の問題になったのですが、割愛します)


「降りなさい」


と言うと素直におります。

ネットが破けて子供たちが落ちてこない様に、柿の木の下で待つ蟹みたいに構えてました。


そのあとこっぴどく叱って、その後はもう何もなかったんです。


で、数週間後、何気なく休み時間のグラウンドに目をやると、またもやゴールネットに人影が。


職員室から「こら!降りなさい!」

と大きな声を出しながら近づきます。


微動だにしない子供たち。


「降りなさい!!聞こえませんか!!」


僕のボルテージも上がります。


広いグラウンドに響き渡る僕の声。


僕とその子たちの距離は近づきます。


30m…


まだ微動だにしません。無視しているのでしょうか。


「降りろ!聞こえないか!」


言葉が乱暴になります。


15m…


まだ動かない。


周りの子供たちもシーーーンと静まりかえって僕を見ます。


10m…


広いグラウンド。ボール遊びの子達も遊ぶ手を止めて僕を凝視します。


「お!!り!!!ろ!!!!」


それでも無視をしつづけるハンモックの子達。


もはやグラウンドは、休み時間に突然訪れた修羅場に釘付けです。続きはCMの後でも何でもなく、あと数メートルで事態は大きな転換期を迎えます。


ハンモックの子達の運命は!?

僕の指導は響くのか?!


もはや色んな思惑が入り混じります。さらに静まり返るグラウンド。


5m…


そこに、無邪気な1年生の子が近づいてきて

「先生…誰に言ってんの??」

と。


「あそこに乗っかってる子だよ」


「先生…あれ、、、、、、だよ。」


なにーーー!!!


迂闊でした!!

僕の視力は0.5


遠くから見たら完全に人だと思い、勝手にボルテージを上げ、大声もあげ、みんなの貴重な休み時間を修羅場に変えてしまった挙句、僕はずーーーーっと、子供たちが脱いだパーカーとかベストとかが折り重なった物体にひたすらにじり寄っていたのでした。


しかし、抜いて振り回してまくった刀のしまい方が分からず、最後に大きな声でこう言いました。


「ゴールネットに!!!服を!!!掛けない!!よろしくーーーね☆」



決まった……

いや、全然決まってない…


その後、近所迷惑になるのでは?と言うくらいの笑い声が空高く響き渡りました。


人生で1番、笑いをとった日でした。


そして数ヶ月後、僕はレーシックの手術を受けて視力2.0を手にしてからは、丸まった服を叱りつけることはなくなりました。